人事しか知らない、転職したい会社や新卒で入社したい会社を選ぶ方法(このことを仕事で知った時、目からウロコでした。)

ある人事担当者のつぶやき

毎月勤労統計調査から考えてみた

「毎月勤労統計調査」とは、賃金、労働時間及び雇用の変動を明らかにすることを目的に厚生労働省が実施する調査です。無作為に調査事業所が選ばれ、会社に調査書類が送られてきます。

この調査は「基幹統計調査」と呼ばれ、法律で「基幹統計調査の報告を拒み、又は虚偽の報告をした者」に対して「50万円以下の罰金に処する」と罰則規定が設けられています。

そのため、対象となった会社の人事は、通常業務で忙しい中、泣く泣く調査書類に回答します。以前私の会社が選ばれた時には、約1年間回答して、貰えたのはボールペン1本でした。

ちなみにこの「毎月勤労統計調査」は、労働災害時に労災保険から支給される休業補償額の最低ラインを決定するのにも使用されているため、意外と重要な調査です。罰則があるのも、一応は納得できます。

<毎月勤労統計調査の結果ページ>

この「毎月勤労統計調査」の結果には何が記載されているのか?

なんと、産業別の平均給与額や平均労働時間が記載されています。また、6月や12月の結果を見れば、産業別の平均賞与額もわかるという素晴らしい調査となっています。

この調査結果さえみれば、現在どの業界の給与や賞与が高くて、どの業界の労働時間が長いのか一目瞭然です。

ちなみに2021年11月の調査でランキングを出すと以下の通りです。

1.月間現金給与額(一般労働者)

  →給料の高い業界ランキング

 1位 電気・ガス業  459,485円

 2位 学術研究等   425,155円

 3位 情報通信業   425,101円

 ワースト

 1位 飲食サービス業等  276,496円

 2位 生活関連サービス等 301,125円

 3位 その他のサービス業 305,858円

2.月間実労働時間(一般労働者)

  →労働時間の短い業界ランキング

 1位 金融業・保険業   151.6時間

 2位 複合サービス事業  154.9時間

 3位 電気・ガス業    158.6時間

 3位 医療・福祉     158.6時間

 ワースト

 1位 運輸業・郵便業 181.7時間

 2位 建設業     177.4時間

 3位 製造業     170.9時間

3.月間出勤日数(一般労働者)

  →休みの多い業界ランキング

 1位 金融業・保険業  18.7日

 2位 電気・ガス業   18.9日

 3位 複合サービス業  19.0日

 ワースト

 1位 建設業       21.4日

 2位 鉱業・採石業等   20.7日

 3位 運輸業・郵便業   20.4日

 3位 生活関連サービス等 20.4日

出典:毎月勤労統計調査 令和3年11月分結果確報

2021年6月のランキング

1.月間の特別に支払われた給与=いわゆる賞与(一般労働者)

  →賞与の高い業界ランキング

 1位 電気・ガス業   765,858円

 2位 金融業・保険業  611,703円

 3位 教育・学習支援業 546,046円

 ワースト

 1位 飲食サービス業等  48,927円

 2位 生活関連サービス等 75,931円

 3位 運輸業・郵便業  150,479円

出典:毎月勤労統計調査 令和3年6月分結果確報

さあ、みなさんどうでしょうか?

これを見ればどの業界を選ぶべきか、選ばないべきか、一目瞭然ではないでしょうか。

私が新卒で会社を選ぶとしたら、給料が高い会社、休みが多い会社を選びたいので、「電気・ガス業」もしくは「金融業・保険業」を選びます。

逆に「飲食サービス業」、「運輸業・郵便業」、「建設業」は避けます。

「電気・ガス業」はそもそも会社の数自体が少ないので、転職で入るのは難しいですし、新卒で入るしかないでしょう。逆に転職で選ぶなら、中途でも入社可能な「金融業・保険業」になると思います。

この調査のいい所は、月ごとに調査が出るということです。各業界の給与の金額がほぼリアルタイムにわかるため、どの業界が成長しているのか、それとも衰退していっているのかがよくわかります。

特に時代によって成長する業界、衰退する業界は常に変わっていきます。誰もコロナがここまで猛威を振るうとは考えていませんでしたし、経済に打撃を与えるとは思っていませんでした。

その中でこのような調査を通して、何があっても強い業界を見極めてもいいですし、これから発展する業界を考えてもいいかもしれません。

正規雇用労働者の中途採用比率の公表義務化から考えてみた

2021年4月1日から、常時雇用する労働者が301人以上の企業において、正規雇用労働者の中途採用比率の公表が義務化されました。これに伴い、対象となる企業は中途採用比率を公表しなければならなくなりました。

<正規雇用労働者の中途採用比率の公表のページ>

公表はおおむね1年に1回、インターネットの利用やその他の方法で行い、求職者が容易に閲覧できるようにしなければなりません。

このインターネットでの公表の具体的な方法として、厚生労働省が推奨しているのが、厚生労働省がインターネット上に開設している「職場情報総合サイト「しょくばらぼ」」の利用です。

「しょくばらぼ」は、勤務実態などの働き方や採用状況に関する企業の職場情報を検索・比較できるサイトとなります。

<職場情報総合サイト「しょくばらぼ」>

ちなみに私の会社でも、この「しょくばらぼ」を利用して中途採用比率を公表しています。

おそらくまともな会社であれば、この「しょくばらぼ」を利用して中途採用比率を公表しているはずです。自社のホームページの利用も推奨されていますが、多くの場合ホームページの運営は人事が行っているわけではないので、人事内で完結できるツールとしてこの「しょくばらぼ」を使用している会社が多いと推測されます。

この「しょくばらぼ」の掲載企業数は、2022年2月1日時点で74,536件です。

つまり、これを検索するだけで企業がどのような勤務実態や採用状況なのかがわかるということです。

ちなみに検索機能もあり、有給休暇の取得日数平均残業時間も20時間未満と40時間未満で検索することが可能です。全ての会社が多くの情報を入力しているわけではないと思いますが、逆に入力している会社は、人事部門がしっかりと採用に力を入れていると考えていいと思います。それは、このサイトを利用して少しでも会社をアピールしたいと思うからです。

都道府県・企業規模・業種でも検索できるので、入社したい会社の業種が決まったら、このサイトを利用してどの会社がいいのか選ぶのもいいと思います。

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