総合格闘技では、ボクシングやキックボクシングで行うパンチやキックのコンビネーションの練習がほとんどありません。
また、総合格闘技のチャンピオンクラスのプロ選手が、総合格闘技にコンビネーションは必要ないという発言をするのを何度か聞いたことがあります。
ではなぜ総合格闘技はコンビネーションが必要ないと言われるのでしょうか?
その理由は2つあります。
1つは、総合格闘技には組みからの寝技があるからです。
コンビネーションをするということは、その場から動かないことを意味します。
そうしたら相手はどうすると思いますか?
必ず組みついてきます。
コンビネーションをしているということは、相手と自分が届く距離にいるということであり、すぐに組みつける間合いにいるということです。
相手がそんな近い間合いにいたら絶好の好機と捉えて組み倒しにかかってきます。
1発、2発と打っている間に間合いにいる時間はそのぶん長くなっていくので、より組み倒されやすくなります。
2つ目は、グローブがボクシングやキックボクシングに比べて小さいことです。
グローブが大きいとパンチで顔を狙われた時にガードをすることができます。
大きめのグローブであれば、顔を覆ってしまえばジャブもストレートもフックもガードをすることができます。
つまり、ガードという手札が増えるわけで、コンビネーションはそのガードを崩す戦法として使えます。
例えばワンツーがガードされて、その後のボディで相手にダメージを与えるですとか、3手目や4手目で相手にダメージを与えることを狙うことができます。
ただし総合格闘技のようにグローブが小さいと、完全に顔を隠すことができず、パンチをガードすることができません。
もちろんパリングをすることはできますが、パリングだけで全てのパンチを捌けるほど甘くはないので、基本的には後ろに下がって避けます。
つまりガードという手札がないと、パンチを避けるという手札しかないわけです。
ボクシングのようにその場で避け続けると組まれますし、基本的には後ろに下がって避けます。
そうすると1発目の打撃で後ろに下がって避けられ、2発目や3発目を放つコンビネーションをすることができなくなるのです。
またガードがそもそもないので、1発目が当たればそれは確実に相手の顔に入って効いているということなので、必ず体勢が崩れて2発目3発目はその怯んだところをめがけて打撃を打ちます。カウンターが来ることもありますが。
なので打撃を連打するというよりは、1発をいかに当てるかというところを重要視します。
こういった理由から総合格闘技の戦いは必ずヒットアンドアウェイか、打撃をしながら組みにいくという戦い方になります。
パンチの打ち方も1発を当てればいいので、ケンカみたいなパンチでもなんでもありです。
例えば人類最強と言われたヒョードルの戦い方を見てもらえればわかります。
コンビネーションみたいな打ち方は使ってないでしょう?
パンチもロシアンフックでぶん回すのが多いです。
ただアメリカでのUFC選手の練習とかを見ていると、コンビネーションの練習をしている選手もいたので、まるっきり使えないというわけではないと思います。
例えばタックルに入ろうとして相手が腰を落としたところをハイキックして、パンチですとか、そういうフェィントを織り交ぜたコンビネーションなど有効なものもあると思います。
まだまだ総合格闘技の技術は進化の可能性を残しているので、自分で新しくコンビネーションを試してみるのもいいかもしれません。
ただボクシングやキックボクシングでやっているようなコンビネーションは、総合格闘技には向いていないということです。
※ここに書いているのはあくまでも個人的な見解です!!